不正をチェックするシステムでは不正はなくならない、不正ができないシステムを作る!

 ある銀行の偉いさんになぜ銀行の不正はなくならないのかということを話をしたことがあります。答えは、人間は魔が差す生き物であり、不正はなくならない という結論でした。
 銀行の場合、半年に一度の転勤という方法をとり癒着をなくし不正を防止するという方法をとっている。それでも不正はいまだになくならないようです。
 ビジネスは、損か得かという部分が大きく、不正の方が得なら、ばれなければいい、追い込まれてやってしまう という魔が差す人は必ずいると思います。しかし、不正は必ずばれますという仕組みがある会社で、バレて処罰をされるための不正を行うかと言われればそれは 不正をするものはいない という結論になると私は思います。不正ができない仕組みを作るためにはシステム開発が不可欠です。当社は、商品に対してマイナンバーをつけて管理し、すべての商品移動に対して原因コードを付加しなければ移動できない制御をし、また、その原因、つまり履歴(ログ)をマイナンバーで管理できるようにした結果、不正をすぐに見つけられるシステムを作ることができました。
 マイナンバーにより、いつどこから商品は入ってきたか (仕入れ・お客様キャンセル・返品・交換 ) いつどこへ商品は出たか (受注、交換、業者返品) を管理できるようにしました。ロケーションは、フリーでどこに保管をしているかを管理し、移動も棚卸もできるシステムにしました。
 原因コードがなき出荷、つまり、パッキンNoがない出荷は許可をせず、不正は、システムを通さずに行うわけでありますが、ロケーション登録日や移動日や棚卸日により、その場所にいつまであったかを管理しているため、いつからいつまであったかを把握でき、その間の期間の監視カメラを見ると、ある程度の犯人が絞れるというわけでございます。
 先日も申した通り、ログの活用は正当な人事評価に使い、スタッフは、がんばればがんばるほど報われるという状態になり、本来、競い合うべき仕事量や品質で評価され給料が計算される。不正はできない、正当な評価により給料は決まるとなれば、スタッフは、みんな 魔が差すことがなく、毎日、しっかり仕事をやってくれるようになります。仕事量が多い人は教育係になり、またさらに仕事量をアップさせるようなことになれば、作業効率は日進月歩によくなることは間違いないです。
 大事なことは、当社は不正ができない 仕組みを作りちゃんとスタッフに理解させることです。それがないといつまでたっても不正はなくならないと思っても過言ではありません。

ECシステムの意義は使いやすさではなく仕事量の削減が第一

ECシステムを作る意義は、仕事量を削減することが第一ではなく、作業スピードと品質を上げることが第一ではないということを強く言いたい。
EC業務における仕事といわれる部分、つまりオペレーターによるオペレーションが必要な部分は、ほぼ皆無です。なぜなら、商品を出品し、受注いただき、商品を確保(引き当て)し、発送するまで何事もなければシステムにより管理され発送されるだけになります。それではなぜオペレーターが必要なのかといいますと、イレギュラーな受注があるため作業が発生いたします。

 イレギュラーな受注とは何か?
 当社では、以下のような受注をいいます。
 数量が多い受注・高額な商品の受注 (出品ミスの可能性があり、販売リスクが大きい)
 外国人のお客様からの受注(発送先の打ち合わせ いたずら不正受注の場合があり)
 沖縄への発送の受注
 大型商品の受注(別途送料の可能性)
 ブラックリストに入っている方からの受注
 コメントをいただいている受注
 希望日をいただいている受注 など

これらをマスタ化し、条件ごとに分類し、オペレーターに作業依頼をすることを仕事をなくすということになります。当社では、受注量がそれだけ集まらないため、受注リストに赤色で帯を付け イレギュラーな受注 を示し作業依頼をしています。受注量がそれなりに多くなりますと、専用I/Fを設けるほうが効率は高くなります。

仕事量を減らす = 仕事の整理整頓 = 仕事のマスタ化 が つまり、仕事量を減らしてシステム化するということになることだけは忘れてはいけません。このマスタ化により受注管理に関しては、受注作業の8割以上もの 仕事をなくす という 成果がありました。システムが得意なこと、人が得意なこと、をしっかり整理して、仕事を分別することが 作業効率を上げるシステム ということになります。

オペレーションツールよりも監視ツールの方が優先的に

オペレーションツール(フロントサイドシステム)を先に優先的に作り業務効率を上げたいと思う方が多くいらっしゃいますが、最終的に効率より品質が優先されないといけません。つまり、サービスが一番優先であり、サービスが疎かになった受注を上げたところで、二度と使ってもらえないユーザー様をたくさん作ってしまう結果になり、一時的な売上は上がっても長期のロイヤルユーザー様には育ちません。極端な表現かもしれませんが、親切につかっていただいているお客様を、殴らないでよいのに毎日殴っている ような状態が続くとなると1年以内にそのショップは、リピーターがなくなりつぶれてしまいます。
 つまり、サービスの品質こそがショップ一番優先されるべきところになり、それを維持するためには、監査・監視ツールを優先して作るべきであります。まずは、作ったシステムがちゃんと稼働しているかどうか、相手がいれば、相手のデータは本当に大丈夫なデータか、私も、これを疎かにした結果、さんざんな目に遭った経験を持っています。具体的にどのようなことがあったかを簡単に例をあげると、
 相手から提供されている商品情報データがでたらめで、人力でのチェックが疎かになり、また、取込み部分の不具合はみとめられなかったため、問題なしの結果が続いた。結局、相手のデータがカスタム時にデタラメなものになっており、2年以上も気づかずに、大損害を被った。数字で言えば、売上規模は、数億、利益ベースでいっても、4,5千万円規模の損害を被った。
 カスタム時に、2次被害にて、販売価格が原価で出品された。消費税抜きで販売された。
 各モールへのエラーチェックがなく、更新がされていなかった。など、数千万円単位で損害を被った。
これらは、すべて監査ツールが優先されていなくて、目先の効率や売上に走った結果、数億単位の損害を出すことになりました。責任は、誰も取ってくれませんというより、取れません。現場が、SEが作るシステムを過信する と損害は膨らむばかりです。導入されるシステムは、でたらめで、SEは、試作品を送ってきているくらいの気持ちで現場には伝えて、テスト結果をSEにフィードバックする仕組みを作っておくべきであります。それよりも何よりも、何か不具合があれば、すぐに判明するツールを先に作り、フロントサイドを取り掛かるという方が、結局なところ得する部分が多く、欲におぼれてしまうという結果になりかねません。ここはとにかく過信することなく、注意をして進めてください。